2013/03/03

『人生、ブラボー!』(STARBUCK).2011

 ハートウォーミングなお話、『人生、ブラボー!』を観てきました。何といっても惹かれたのはその斬新なストーリー設定。

42歳の独身男ダビッド。借金はあるは、妊娠した恋人には三行半を突きつけられるはのダメ男。ある日弁護士を通じて、過去に693回行った精子提供のバイトの結果として生まれた533人の父親であることがわかった。そして、そのうち142人が、遺伝子上の父親の身元開示を求める訴訟を起こす予定だと知らされる。ふとしたきっかけでそのうちの1人が応援しているサッカーチームのスター選手だと知り、興味を抱き・・・。大人ファンタジーなヒューマン・コメディ。全編仏語のカナダ作品です。



多くの映画でありとあらゆる設定が出尽くした感のある中で、突拍子もないけど、でも実際起こり得るかも・・・と思える辺り、興味深々です。

精子提供によって生まれた子供たちというセンシティブな題材でもあり、大人の事情、難しい問題を含んでいるので、裁判の内容等は語られないのですが、人との絆、父親としての自覚が生まれていくダビッドの姿に焦点を当て、丁寧に描かれている点に好感が持てました。散りばめられた笑いも秀逸です。原題のSTARBUCKは精子提供の時に使用した仮名なのですが、カナダの超優良種牛の名前。この名前がストーリー上で活きてくる。

精子提供に秘められた裏話で、小さなパズルのピースがピタッとはまります。ダビッドいい奴!とすっかり彼の魅力にハマってしまうマジック。そう、ダメ男なんだけど、思いやりがあって本当にいい奴。
演じたパトリック・ユアール(Patrick Huard)の、ダメ男から次第に父親としての責任感に目覚めていく変化が自然で、本当に成長しているようで、彼の演技でこの突拍子のない設定が上手く中和されて受け入れやすくなっていると感じます。

心地よい浮遊感と絶妙な笑いがハリウッドでどんな風にリメイクされるのか、楽しみでもあります。

「やったよダビッド!!」

2013/02/28

『バチェロレッテ -あの子が結婚するなんて!-』(BACHELORETTE).2012

久々に元気なイメージのキルスティン・ダンストに会える、『バチェロレッテ -あの子が結婚するなんて!-』を観てきました。彼女のことは『チアーズ』の頃から大好きだったのですが、最近は『メランコリア』『幸せの行方...』など物憂げな雰囲気の役が続いていたこともあり、元気な彼女を観るのはかなりお久しぶりな感じがします。共演には、『お買い物中毒な私!』でその魅力を存分に発揮したアイラ・フィッシャー。この2人を一緒にみれるなんて、わたし好みのキャスティング。



おデブな高校の同級生に結婚を出し抜かれた訳あり独身女性3人が、結婚披露パーティー、独身さよならパーティー(BACHELORETTE PARTY)を通して本音を曝け出す、ちょっとダーティーなコメディータッチのハイテンションガールズムービー。


ノリのいいオープニングに期待が広がります♪
単純でカラダの関係先行のケイティ(Isla Fisher)、美人で完璧主義型レーガン(Kirsten Dunst)、元彼引きずり過ぎ破天荒なジェナ(Lizzy Caplan)、と色々問題ありな3人。
それぞれの事情はそれ程深く掘り下げられることはなく、その点は残念な印象でしたが、三十路女の厳しい現実(?)を題材にしているので、指南くさく掘り下げないほうがバランス的によかった、とも思えます。3人の割合で言うと、ジェナの件が一番深くて40%、レーガン35%、ケイティ25%くらいでしょうか。薬漬けのジェナが一番奔走していいところを持っていってしまい、キルスティンのファンとしては、ちょっと肩透かしな感じでした。でも、明け透けなガールズトークとはちゃめちゃなストーリー展開は女性版『ハングオーバー』といった様相で気楽に楽しめました。
キルスティン自体はコメディでの演技はあまり評価が高くないようですが、追い詰められた時の壊れっぷりがリアルっぽく堂に入っていて惹きこまれるものがありました。



私がこの映画で一番印象に残ったのは、ファッション。
キルスティンのワンピースがとにかく素敵だったのでちょっと調べてみました♪このアイボリーのワンピースは3.1 Phillip Limのもの。クラシカルな形なのに、胸のところに縦に大胆なカットが施されていて、シルクのサラッとした質感も相まって、動く度にチラチラとみえる谷間がとてもセクシーなのです。(スレンダーなのにグラマーなキルスティンだからこそ素敵に着こなせるデザイン…)

カジュアル・フェミニンなデザインでN.Y.を中心に展開されているブランドのようです。




ちなみにアイボリーのブライズメイドのドレスはKate Spadeのもの。花嫁惹き立て役として、ちょっとダサ目イメージのブライズメイドのお揃いドレスですが、本作ではスタイリッシュで素敵でした♪選んだのは裏方で仕切っていたレーガンっぽいのですが…その辺りも、先に結婚する女友達への複雑な思い、自分が目立ちたい願望が反映されているのかも?!

三十路女、いろいろあるけど、まぁ飲もう!(字余り)

2013/01/20

『ted』.2012


楽しみにしていた『ted』を観てきました!
日本公開当日の金曜日夕方の回、ほぼ満席の盛況さ。期待が広がります。

命が宿った奇跡のテディベアTedは少年ジョンと親友。27年の後、愛らしい姿とは裏腹に、その魂はすっかりエロい中年のおっさんに。2人は相変わらずつるんでおり・・・

愛らしげなぬいぐるみが主役の映画なのにFワード満載なのでR15指定という異色の作品。笑う気満々で楽しみに出掛けましたが!際限のない下ネタの連続に・・・苦笑い。付き合いたてのカップルは避けた方が良さそうな内容ですw



えっちなお姉さんたちと楽しんでいるTed







英語のFワードのえげつなさを聞きとって楽しめるヒアリング力。そして80年代のサブカルに通じていること、アメリカの有名人ネタ、ゴシップを知っているか。これらが爆笑できるかどうかの鍵と感じます。

とはいえ、そんなネタがわからないなりにも、モコモコ動くテッドの姿にほっこりした気分になれて、そして意外にもシュールな展開で、ぼろぼろ泣いてしまう場面も。最後はハッピーエンドですが、上がって落ちてスッキリさせられるジェットコースター的な構成は、単純なコメディに終始しないエンターテイメント性の高い作品。楽しい作品でした♪

誘った当初は興味なさげな反応をしていたNくんも(「R15指定のちょっとエッチなブラックコメディだよ!」と言ったら、いいけど・・・とかいって着いてきたw)、案外楽しかったご様子。

ちなみに字幕はかなり日本のネタに置き換えていて、意訳というより「違訳」といった趣でした。直訳できない苦渋の策(作)、こちらも新しいみどころかも。

Mark Wahlberg
Mila Kunis
Sam J. Jones
Norah Jones
Ryan Reynolds

2013/01/05

Loison社のパネトーネ



Loison社のパネトーネをいただきました!イタリアのクリスマス伝統菓子です。包装も可愛い。

普段は甘いもの、特にパン菓子にはほとんど興味のない私なのですが、試食をしたところ、その美味しさの虜になり、ホールで購入。こういうことって本当に珍しくて、それくらい美味しかったのです。

まず、そのしっとり感に驚き。シロップ漬フルーツがたっぷり入っていて、しっとりふわっと甘くて、大袈裟ではなく、1ホール食べることも可能な美味しさ。家族で分けたら、大人気で切った端からなくなってしまいました。見た目は大きなレーズンパンみたいなのに、食べると全然違います。乳酸菌の入った特別な酵母菌で発酵させているのが特徴だそう。Loison社は老舗で、各国に輸出もされて人気を得ているようです。

国内ではたくさん流通しているわけではないようなのですが、もしご縁があったら一度食べてもらいたい魅惑の美味しさです♪

2012/12/19

『リトル・ミス・サンシャイン』(Little Miss Sunshine).2006


家族がテーマのロードムービー。ブラックユーモア満載でシュールなのですが、最後に温かい気持ちになるお気に入りの作品です。




ミスコンに憧れているぽっちゃり体型の少女オリーブ(アビゲイル・ブレスリン)。美少女とは言いがたいけれど、地元の大会で繰り上げ入賞し、カリフォルニアで行なわれる美少女コンテストへ出場できることになる。オリーヴと家族(父・母・祖父・兄・伯父)は会場に向けて黄色のVWワゴンで800マイルの旅に出る。

アビゲイル・ブレスリンの作品ということでセレクトしたのが観るきっかけ。『私の中のあなた』(2009)で、重病の姉の為のドナーベイビーとして生まれ、両親を法的に訴えようとするキャメロン・ディアスの娘役を演じ、印象深かった彼女です。2006年の作品である『リトル・ミス・サンシャイン』撮影時は10歳くらい。あどけなく、ぽっちゃり体型で顔も美少女とは言いがたいのですが、助演女優賞にもノミネートされるだけあって、抜群の存在感。ちなみに実際はとても美しい少女に成長しています。

この家族、個々のキャラクターが非常に個性的。
主張が強く厄介な男性陣を大らかに受け止め、家族をまとめているのは母シェリル。そのシェリルの兄フランクはプルーストの研究家でゲイ、教え子の恋人にフラれて自殺未遂を起こし、オリーヴたちの家に居候。父親リチャードは「勝ち組」志向、勝ち組になる為のメソッドをまとめた自己啓発本の出版で自分の名を挙げようと目論む野心家。孫娘オリーヴのミスコン出場を応援して日々(変な)ダンスの練習をしている祖父は、ヘロイン中毒で老人ホームを追い出されてきた不良ジジイ。オリーヴの兄ドウェインは空軍のテストパイロットになることを夢見る15歳の童貞少年、ニーチェに傾倒し、沈黙の誓いを立て、まったくしゃべろうとしない。

…とまぁ、面倒くさい家族ですw
でも、このシュールな設定が、面倒くささを超えて興味を掻き立てるとでもいうのか、結構いいのです。そして、可愛い黄色のVWワゴンが映画のスパイスになっています。

そう、おんぼろワゴンをみんなで押して一致団結する姿がなんとも言えずイイ。父の憎めない全力の俗っぽさがイイ、母の大らかさがイイ、少年の不器用なまでの一生懸命さがイイ、挫折にめげそうな少年にナイスアドバイスするゲイの伯父さんがイイ、おじいちゃんの愛とはっちゃけ具合がイイ、オリーヴの純粋無垢さがイイ!!

長くて短い道中の出来事に人生の機微を上手く凝縮した良作オススメです♪

2012/12/18

『お買いもの中毒な私!』(Confessions of a Shopaholic).2009


笑いたい時に選ぶ1本。キュンとなる、とても可愛い映画です。衣装を、『SEX and theCITY』『プラダを着た悪魔』などを手掛けたスタイリスト、パトリシア・フィールドが担当しているのもみどころです。とにかくカラフル!

ファッション大好き♪ショッピングのしすぎでクレジットカード借金地獄に陥ってしまっているレベッカ(アイラ・フィッシャー)。ファッション誌で働くことが夢。求人への応募をきっかけに、他の雑誌(畑違いの金融誌)の記者に採用されたものの・・・。

アイラ・フィッシャーの出世作。彼女の魅力が存分に活かされています。
25歳のレベッカ役を実年齢33歳で演じているのですが、違和感はほとんど感じません。すごい美人さんとかではないのですが、にじみ出る可愛らしい魅力は人柄の良さからくるもののような気がします。本当にぴったり、当たり役です。
ちなみに彼女、実生活ではサシャ・バロン・コーエンと結婚しています。『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 』(←くだらなくて大笑い、こちらもオススメ)に主演のコメディアンの彼です。キュートな彼女とコメディアンの彼、役柄の印象からではありますが、楽しそうな夫婦(夫婦漫才的なもの)だろうなぁと勝手な想像が膨らみます。

もとい、
靴に対する熱い思いを語ったレポート(お買い物で培った経験をフル活用して、何百ドルもするブランド靴の価値を、その靴の素晴らしさ、人生がどれだけ豊かになるかという着眼で力説→Priceless!お金では買えない価値があるw)で金融雑誌へ採用されてしまうという展開、なかなか無理やりのようで結構上手い。レベッカのダメ女子っぷりを描きつつ、クレジットカード(借金)社会であるアメリカの実情を皮肉ったテーマをちりばめ、ファッションも恋もと色々詰め込んだ中で、きちんと最後にはタダでは起きないアメリカらしいなぁというオチをつけてくれて、観ていてスッキリします。


Luke; Did you just type "good engles on APRs' into Google?"

Rebecca; ・・・Yes,I Googled.

イケメンの金融雑誌編集長(雑誌社の御曹司であることはヒミツ)、ルーク(ヒュー・ダンシー)との掛け合いも面白い!ルークに、「独自の視点」が足りないと指摘されると、グーグルで「独自の視点」を検索しちゃうレベッカ・・・。

可愛い笑えるエピソードが盛り沢山。

カラフルな映像をみると元気になれる!笑いたい時に♪

アクの強い出演者の顔ぶれもなかなか。
【出演】
レベッカ:アイラ・フィッシャー(スクービー・ドゥー)
ルーク:ヒュー・ダンシー(スリーピング・ディクショナリー)
スーズ:クリステン・リッター(幸せになるための27のドレス)
レベッカ父:ジョン・グッドマン (コヨーテアグリー、アーティスト)
レベッカ母:ジョーン・キューザック(ハイ・フィデリティ)

2012/12/17

『軽蔑』(Le Mépris).1963

大好きなブリジット・バルドー(BB)主演、ゴダール監督作。
イタリアのカプリ島など、景色の美しさもみどころのひとつ。

男女の埋めようのない心理的感覚の差を夫婦間の何気ないやり取りの中に描き出すと共に、商業主義的なハリウッド映画に押されて衰退しつつあったヨーロッパ映画産業の悲哀を描く。

BBの美しい肢体と印象的な夫婦のベッドでの会話の場面からはじまります。BBに釘付け。

脚本家のポール(ミシェル・ピコリ)と女優で妻であるカミーユ(ブリジット・バルドー)夫妻。ポールは映画プロデューサーのジェレミー・プロコシュ(ジャック・パランス)から有名な英雄叙事詩『オデュッセイア』の映画用脚本の改訂という大きな仕事の依頼をされます。後れてその場にやってきたカミーユの美しさに目を留めたプロコシュ、夫妻を自宅へ招こうとします。

ここで、ポールは「致命的な対応」を。

プロコシュの車(Alfa Romeo Giulietta Spider!ステキ♪)は2シーター。プロコシュはカミーユに2人で一緒に乗っていこうとレディーファーストかのような提案をし、ポールもカミーユにそれを促します(ちなみにポールは1人タクシー)。



息をのむ程美しいのですが・・・
何とも言えないカミーユの表情。


「・・・(え、プロコシュと2人?)」




この対応。
ポールは内心カミーユをプロコシュと行かせることに感じるものがあった筈ですが、プロコシュがカミーユを気に入ったことを察したからか、大きな仕事の発注主であるから強く出られなかったのか、鈍い嫉妬心を隠し、余裕風を吹かせたところがある。後からひとりやってくるポール・・・何だか格好悪いです。

この場面、女性の視点からするとまるで売られたかのような気にもなる(←大袈裟)のですが、男性には「今の何が問題なのかわからない」と言われたことが。何が嫌なのか説明しても「・・・そうなの???」とはてなマークだらけでなかなか理解してもらえない、感じ方の違いが面白いなぁと感じた経験があります。
(ちなみに、この場面に関する<私の思う正解>は、「後から2人で伺います(`・ω・´)キリッ」とポールがスマートな対応をしてくれることでしょう。)

結局この対応によって夫婦間に隙間風が吹いてしまいます。
でもポールにはカミーユの意図するところがわからないので、格好をつけてみたり、墓穴を掘ってしまったり、苛々させるようなことを言ったりやったりしてしまいます。

結果、カミーユの棄て台詞、「軽蔑するわ」

「こういうすれ違い、あるある!」、と、ありふれたやり取りに思わず共感してしまう筈。
男性はこれみて女心を学んでね♪

【監督】
ジャン・リュック・ゴダール
【出演】
ブリジット・バルドー(気分を出してもう一度)
ミシェル・ピコリ(ロシュフォールの恋人たち)
ジャック・パランス(バグダッド・カフェ)