2012/12/19
『リトル・ミス・サンシャイン』(Little Miss Sunshine).2006
家族がテーマのロードムービー。ブラックユーモア満載でシュールなのですが、最後に温かい気持ちになるお気に入りの作品です。
ミスコンに憧れているぽっちゃり体型の少女オリーブ(アビゲイル・ブレスリン)。美少女とは言いがたいけれど、地元の大会で繰り上げ入賞し、カリフォルニアで行なわれる美少女コンテストへ出場できることになる。オリーヴと家族(父・母・祖父・兄・伯父)は会場に向けて黄色のVWワゴンで800マイルの旅に出る。
アビゲイル・ブレスリンの作品ということでセレクトしたのが観るきっかけ。『私の中のあなた』(2009)で、重病の姉の為のドナーベイビーとして生まれ、両親を法的に訴えようとするキャメロン・ディアスの娘役を演じ、印象深かった彼女です。2006年の作品である『リトル・ミス・サンシャイン』撮影時は10歳くらい。あどけなく、ぽっちゃり体型で顔も美少女とは言いがたいのですが、助演女優賞にもノミネートされるだけあって、抜群の存在感。ちなみに実際はとても美しい少女に成長しています。
この家族、個々のキャラクターが非常に個性的。
主張が強く厄介な男性陣を大らかに受け止め、家族をまとめているのは母シェリル。そのシェリルの兄フランクはプルーストの研究家でゲイ、教え子の恋人にフラれて自殺未遂を起こし、オリーヴたちの家に居候。父親リチャードは「勝ち組」志向、勝ち組になる為のメソッドをまとめた自己啓発本の出版で自分の名を挙げようと目論む野心家。孫娘オリーヴのミスコン出場を応援して日々(変な)ダンスの練習をしている祖父は、ヘロイン中毒で老人ホームを追い出されてきた不良ジジイ。オリーヴの兄ドウェインは空軍のテストパイロットになることを夢見る15歳の童貞少年、ニーチェに傾倒し、沈黙の誓いを立て、まったくしゃべろうとしない。
…とまぁ、面倒くさい家族ですw
でも、このシュールな設定が、面倒くささを超えて興味を掻き立てるとでもいうのか、結構いいのです。そして、可愛い黄色のVWワゴンが映画のスパイスになっています。
そう、おんぼろワゴンをみんなで押して一致団結する姿がなんとも言えずイイ。父の憎めない全力の俗っぽさがイイ、母の大らかさがイイ、少年の不器用なまでの一生懸命さがイイ、挫折にめげそうな少年にナイスアドバイスするゲイの伯父さんがイイ、おじいちゃんの愛とはっちゃけ具合がイイ、オリーヴの純粋無垢さがイイ!!
長くて短い道中の出来事に人生の機微を上手く凝縮した良作。オススメです♪